http://niwaella.ichi-matsu.net/%E3%82%A2%E3%83%A6/%E4%BD%95%E3%81%A8%E3%81%8B%E7%94%A3何とか産
中日スポーツにも鮎情報が出始めました。
矢作などの釣果情報、状況報告が出てましたが、
今月頭に出ていた解禁特集と共に、ものすごく気になったのが、
異常なまでの「何とか産」という種苗の種類への執着でした。
琵琶湖産がこうで人工産がこうとかいうのは
かなり前から言われてきており、ちっともアップデートされないところは
以前も書きました。
東北の鮎名人による刷り込みはすさまじいものだと、改めて感じました。
渓流釣りや鮎釣りを体系的にまとめて示した功績は大きいものの、
魚の行動、生態について、経験則で知ったものを、
かの名人は、あえて疑似科学で説明してしまったという
大きなミスをしてしまいましたが、釣り人からは、
信憑性がある科学的裏付けと捉えられてしまっているのが残念です。
話を元に戻して、
鮎釣り師や鮎の情報を発信する人たちは、
本当に「何とか産」が好きなんだなあと感心してしまいますが、
冷静にその内容を見ると、なんだか支離滅裂に見えてきます。
今年の中日スポーツは
琵琶湖の鮎が超不漁なせいか、それとも、
早期解禁河川が以前から琵琶湖産を放流してないところばかりだからか、
これまでの琵琶湖産ゴリ押しから、鶴田ダム湖産押し押しになりましたね。
鶴田ダム湖産を、漁協も新聞も初期用の種苗ととらえているようですが、
これも以前触れたことがありますが、
鶴田ダム湖の陸封鮎は海系です
(1)・・・
海産鮎が初期に釣れないとか言っておいて、「湖」とついたら、
ルーツが海系であっても初期のロケットスタート用ですか。
個体群の一部が陸封されたり、養殖されたりしても、例えば、
海にいる自然の再生産鮎の遺伝的な多様性の範囲内にしかならないのに、
急に初期に掛かるようになるとかおかしいですよね。
経代、累代飼育の中で作為的か不作為かは別にして、
選抜されて、一部分が強調されることは起きますが、
それでも多様性の範囲内での出来事です。
そんな深いことの前に、そもそも、
琵琶湖産、海産、人工産、鶴田ダム湖産、木曽川産、豊川産とか
「何とか産」がいっぱい出てきますが、
天然種苗なのか、天然種苗を中間育成した養殖魚なのか、
天然親魚から生産した人工種苗の養殖魚なのか、
代を継いで養殖した魚なのか、
すべてがごちゃごちゃになっているのが、私はとても奇妙に感じます。
定義がめちゃくちゃなのに、「何とか産」がよく掛かるとか、
あいもかわらず疑似科学の世界のようです。
この辺は突っ込みどころ満載なので、機会改めます。
私は、種苗(「何とか産」)の違いによる
掛かりの良し悪しはあまりわからないので、
密度や、病気で死亡して密度が下がることのないような健苗性
こういうことの方が重要だと思うので、
むしろ、遺伝的背景よりも生産者の方が気になります。
そして、限られた資金で漁場の密度を上げられるよう、
放流にメリハリつけているかとかの、漁協の姿勢などを重視して
できるだけ、釣行河川を選ぶようにしてます。
もちろん、例外もありますけど。
(1) 関 伸吾・高木基裕・谷口順彦. 1995. DNAフィンガープリントとアロザイム遺伝標識による野村ダム湖産アユの遺伝的変異保有量の推定. 水産増殖, 43: 97-102.
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